第九回(1)
「ジ●スコCITY発アキバ行き」

講師:ロマン優光


 マーダー・ケースブックのテレビCMが頻繁に流れていた頃を振り返ってみると、とんでもないことだったんだなあと思いますなあ。毎週殺人鬼に関する本が刊行され、その情報がお茶の間にお洒落な感じでテレビからたれ流されてるなんて。そう、あの頃そういうのがなんかオシャレだったのよね、オシャレ。鬼畜ブームでしたからなあ。まあ、マーダー・ケースブックに限らず、この手の刊行物が増えていたわけです。オシャレだけあって、欧米の殺人鬼をちょっと高踏に語るみたいなやつが主流でねぇ。殺人犯の心の闇の深層にせまるみたいな。当時の日本では利害や怨恨のからまない不条理な凶悪犯罪あまりなかったし。ところで最近はよりとんでもない状況ですな。実話系コンビニ漫画の隆盛をむかえ、殺人鬼ものもその中で重要なコンテンツの一画をになってるわけです。週に一回どころじゃない。競合他社から類似したテーマの本がやたら毎週だされてるわけで、刊行数も格段に多い。昔の殺人鬼ブームの頃は、結局サブカルっつーか1部の文化大好きオシャレさんたちのもので、都会の中心の気取ったムーブメントでしかなかったわけですよ。ところが、今回は日本全国津々浦々、どんな田舎のコンビニにも行き渡ってるうえに、内容も心の闇とかどうでもいいからひたすらワイドショー的な即物的残酷描写と、「こんな奴らは許すな!」的なとってつけたような正義感。長文を読むのはおろか、漫画の微妙な表現を読み取るのも苦手な人にも楽しめるような、格差社会に対応した万人に優しいつくりになってます。殺人の大衆化、いや文字どおりコンビニ化がすすんでいるわけですな。〜続く〜[9/2 UP!]


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