検証・都市伝説4
『電子レンジの猫』


同じ都市伝説であっても、時代や場所によってその主旨や意図が大幅に変わってしまうことがある。以下のエピソードを聞いたことのある人は多いだろう。アメリカのある主婦が濡れた猫を乾かそうと、電子レンジに入れる。猫は内臓を大ヤケドして死んでしまう。主婦は「猫を入れるなとマニュアルには書いていない」とメーカーを訴えて勝訴し、多額の賠償金をせしめる。それ以降、同社の電子レンジには「動物を乾かさないでください」という注意書きが明記されることになった---。  「DQNが猫をチンして愚かにもメーカーにキレたら、無理が通ってしまう」という話だが、このような裁判記録は当然実在せず、都市伝説であることは間違いない。が、この逸話が訴訟大国アメリカをからかう意図があることも、同様に間違いない事実である。この逸話のルーツと呼べる話は70年代のアメリカ東海岸ですでに流布していたが、重要なのは後半の「主婦がキレる→訴訟」以降のくだりが、全く存在していないこと。つまりこの話、当初は「もし電子レンジに生き物を入れたら?」という、よくわからないモノへの純粋な疑問や不安を表したものに過ぎなかったのだ。また同時期「ヒッピーのベビーシッターがトリップし、赤ん坊をオーブンでチンしてしまう」という都市伝説もアメリカで流布しており、これが80年代に日本に伝わった段階で融合し、更に訴訟エピソードが追加され、ガラリとニュアンスが変換され、現在の形になったようだ。今ここにある都市伝説が、最初から今と同じ内容だったわけではなく、また同じ意味だったわけではない。電子レンジでチンされた架空の猫や赤ん坊は、それを語り伝える人々の都合で様々な意味を持たされるのだ。今までも、そしてこれからも。[8/28 UP!]


▲猫は狭いところを好むので、レンジを開けてさえおけばこのような光景はわりと容易に目にすることができる。でもチンしちゃダメ。


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