検証・都市伝説6
『牛の首』
「あんな恐ろしい話は、聞いたことがない」
具体的な内容が明らかにされないまま現在も流布している都市伝説「牛の首」。たまにネットで「これがあの『牛の首』の内容だ!」と話題になることもあるが、その「真の内容」にもバリエーションがあり、いまだその真相は闇に包まれている…。
いきなり核心を明かすと、この逸話のそもそもの元ネタは小松左京のショートショート「牛の首」。要するにフィクションである。1965年2月『サンケイ・スポーツ』に掲載されたもので、内容は「誰もその内容を語りたがらない奇妙な都市伝説『牛の首』の内容を知ろうと、主人公“わたし”が右往左往し、ついにその真実に到達し戦慄する」というもの。(※注意! 以下、小松左京「牛の首」の結末をバラします。未読の方はご注意ください)
結末は以下のとおり。実は「『牛の首』という恐い話がある」という噂だけが人口に膾炙しており、その内容は文字通りの意味で「誰も聞いたことがない」のだったある意味で拍子抜けというか落語のようなオチである。しかし、この話に関して掲載当時から「もともと出版界で流布していたのを小説にアレンジした」とか「筒井康隆が広めた」といったエピソードがまことしやかに語られており、最初の段階で半ば都市伝説化していたようだ。それがネットの普及した現在、事情を知らない人々が実在の都市伝説と混同し真相を探し、それに応えて真相をデッチ上げる「釣り」も横行し、更に「いやそれは小松左京の小説ですよ」「いやいや元々出版界では…」といった遣り取りが繰り返されるうちに、本当に都市伝説のように流布してしまったのである。
都市伝説を題材にした小説が40年の月日をかけて虚構と現実を踏み超え、都市伝説そのものになってしまった「牛の首」。都市伝説そのものの不気味さを教えてくれる逸話である。[12/1 UP!]
▲日本を沈没させたことで有名な小松先生は「くだんのはは」という、牛面人身の怪物を扱った小説も書いている。牛好きなんですね。
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